製品の仕様検討とは

目次

製品開発における仕様検討は、品質やコストの大半を左右する重要な工程です。本記事では仕様検討で決めるべき項目や注意点、進め方のポイントを解説します。

製品における仕様検討とは

仕様検討の位置づけ(企画で描いた価値を仕様へ落とし込む工程)

製品開発の初期段階では、まず「どのような価値を届けたいか」という企画が描かれます。仕様検討は、この抽象的な企画内容を、実際に形にできる具体的な条件へと置き換えていく工程にあたります。企画の段階では言葉やイメージで語られていた価値を、機能や性能といった数値や基準に変換することで、次の設計や試作の工程に進む土台が整っていきます。この橋渡しがうまくいかないと、後工程で企画意図と実際の製品との間にズレが生じやすくなるため、丁寧に進める必要がある工程といえます。

仕様検討で定義すべき主な項目(機能・性能・サイズ・重量・目標原価など)

仕様検討の段階で整理しておきたい項目には、製品に求められる機能や性能のほか、サイズや重量、そして目標とする原価などが含まれます。これらは互いに関係し合っており、たとえば性能を高めようとするとサイズや重量、コストに影響が及ぶことも珍しくありません。そのため一つひとつの項目を独立して決めるのではなく、全体のバランスを見ながら整理していく視点が求められます。この段階で項目の抜け漏れがあると、後になって仕様の見直しが必要になり、開発期間全体に影響してしまうこともあるため注意が必要です。

仕様検討が製品開発の成否を左右する理由

品質やコストの大半は仕様検討段階の判断で決まる

製品の品質やコストは、実際に形を作り始めてから決まるものと思われがちですが、多くの部分は仕様を検討している段階の判断によって方向づけられていきます。使用する部品の種類や構造の方向性、求める精度などは、仕様検討の時点である程度定まっていくものであり、後から大きく変更しようとすると手間やコストが膨らむ傾向があります。だからこそ、仕様を固める段階でどれだけ具体的かつ現実的な条件を検討できるかが、その後の開発プロセス全体の質に影響していきます。

後工程での手戻りは仕様検討時の見落としに起因することが多い

開発が進んだ後の工程で発生する手戻りは、さかのぼってみると仕様検討の段階での見落としが原因になっているケースが少なくありません。たとえば求める性能ばかりに意識が向き、製造のしやすさやコストとのバランスを十分に検討できていなかった場合、後の工程で「思っていたものと違う」という状況に直面することがあります。仕様検討の段階でどこまで先を見据えて条件を整理できるかが、後工程での手戻りを抑えられるかどうかの分かれ目になっていきます。

仕様検討でよくある失敗パターン

要望を詰め込みすぎた結果、過剰な仕様になってしまうケース

製品に求める要望は、担当者や部門によってさまざまに存在します。それらをできるだけ多く反映しようとするあまり、仕様全体が過剰になってしまうケースは少なくありません。一つひとつの要望には根拠があっても、すべてを盛り込むと機能同士が干渉したり、想定していたコストや納期の枠を超えてしまったりすることがあります。仕様検討の段階では、要望を並べるだけでなく、それぞれの必要性や優先度を見極めながら全体のバランスを整理していく姿勢が求められます。

製造現場の制約を考慮しないまま仕様を固めてしまうケース

企画や設計の視点だけで仕様を検討していくと、実際に製造する現場の制約が抜け落ちてしまうことがあります。たとえば形状や構造によっては、加工の難易度が上がり、想定していたコストや納期で対応できない場合もあります。仕様検討の段階から製造の視点を取り入れておかないと、後の工程で「その仕様では対応が難しい」という指摘を受け、条件を見直すことになりかねません。企画側の意図と製造側の現実的な条件をすり合わせながら仕様を固めていくことが大切です。

コスト試算が不十分なまま仕様を確定してしまうケース

仕様を検討する段階では、機能や性能に意識が向きやすく、コストの試算が後回しになってしまうことがあります。しかし、仕様が固まった後にコストを算出してみると、想定していた予算を大きく上回っていたという状況に直面することも珍しくありません。仕様検討と並行してコストの見通しを立てておくことで、条件を調整する余地を残しながら進めることができます。仕様とコストは切り離して考えるものではなく、同時に検討していく項目として扱う必要があります。

仕様検討を進める際に押さえておきたい注意点

「いくらで作るか」という原価企画の視点を持つ

仕様検討を進めるうえでは、機能や性能の条件だけでなく、「いくらで作るか」という原価企画の視点を初期段階から持っておくことが大切です。目標とする原価をあらかじめ設定しておくことで、仕様を検討する際の判断基準が明確になり、要望と予算のバランスを取りやすくなります。原価の検討が後回しになると、仕様が固まった段階でコスト超過が判明し、条件を大きく見直さざるを得ない状況に陥ることもあるため、早い段階からの意識づけが求められます。

実現可能な技術・工法を前提に仕様を検討する

仕様を検討する際には、理想の条件を並べるだけでなく、現実的に実現可能な技術や工法を前提に置きながら進めていくことが求められます。実現の見通しが立たない条件を仕様に含めてしまうと、後の工程で対応方法が見つからず、仕様そのものを見直す必要が生じることもあります。既存の技術や工法でどこまで対応できるのかを把握しながら条件を整理することで、無理のない仕様検討につながっていきます。

要求仕様に優先順位をつける(必須要件と希望要件の整理)

仕様検討では、求める条件をすべて同列に扱うのではなく、必須の要件と、できれば実現したい希望の要件とを分けて整理しておくことが有効です。優先順位が明確になっていれば、コストや技術的な制約によって調整が必要になった場合でも、どの部分を維持し、どの部分を見直すかを判断しやすくなります。逆に優先順位があいまいなまま仕様検討を進めてしまうと、後の調整の場面で判断に時間がかかり、開発全体のスケジュールに影響することもあります。

仕様検討を成功させるための進め方

仕様検討を社内の思い込みだけで完結させないこと

仕様検討は社内の担当者だけで進めることも可能ですが、企画や開発に携わるメンバーの経験や知識の範囲内で条件を固めてしまうと、視点に偏りが生じることがあります。特に過去に類似の製品開発を経験していない場合、想定していなかった制約や条件を見落としたまま仕様が確定してしまう可能性も否定できません。社内の意見をベースにしつつも、客観的な視点を取り入れながら仕様の妥当性を確認していく進め方が、精度の高い仕様検討につながっていきます。

早い段階から製造・設計の視点を取り入れる方法の一つとして、プロへの相談・依頼という選択肢もある

仕様検討の精度を高める方法として、製造や設計の知見を持つ専門家に早い段階から相談するという選択肢もあります。社内だけでは気づきにくい製造上の制約やコストの見通しについて、専門的な視点からの助言を得ることで、仕様を固める段階での判断材料が増えていきます。すべての工程を外部に委ねる必要はありませんが、仕様検討の初期段階でプロの知見を取り入れておくことは、後の試作や量産の工程で発生しやすいトラブルを未然に抑える一つの手段になり得ます。

まとめ

製品の仕様検討は、企画で描いた価値を具体的な条件へと落とし込む工程であり、その後の品質やコスト、開発スケジュールに大きく関わってきます。要望を詰め込みすぎたり、製造の制約やコストの試算を後回しにしたりすると、後工程での手戻りにつながることも少なくありません。

原価企画の視点を持ちながら実現可能な条件を検討し、要件に優先順位をつけて整理していくことが、無理のない仕様検討につながります。社内の視点だけで完結させず、必要に応じて製造や設計の知見を持つ専門家の意見を取り入れることも、仕様検討の精度を高める一つの方法として検討してみてはいかがでしょうか。

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