過去の設計資産が散在し、見積もりや部品選定に余計な工数がかかっているR&D・調達部門の責任者に向けて、図面データを起点に組織の生産性を大きく改善するキャディ(CADDi)の強みや得意領域、実例を解説します。
キャディは、製造業に特化したAI技術を活用し、図面データを単なる保管庫ではなく、設計・調達の現場で実際に活用できる「デジタル資産」へと変革するサービスです。
特徴は、システム導入だけでなく、製造業出身者を中心としたコンサルタントが現場の業務フローに寄り添い、定着に向けた伴走支援を行う点にあります。図面上の文字や形状をAIが自動解析し、属性値や発注実績と統合的に紐づけることで、過去の知見を検索・活用できる環境を構築可能。設計・調達業務における属人化を解消し、過去データに基づく正確な見積もりや部品選定を可能にすることで、業務効率化と品質向上を同時に推進できる基盤を提供します。
導入の広がりも、選定時の判断材料になります。日経225構成銘柄のうちディスクリート系(組立型)製造業では導入率が50%超※、顧客は22カ国に分布し、従業員数は911名。デンソー、SUBARU、YKK、Astemo、ヤンマー、川崎重工、明電舎といった国内の主要メーカーが実名で導入事例を公開しています。「まだ実績の少ない新技術を入れる」という類の意思決定ではなくなりつつある、というのが現在地です。
もうひとつ押さえておきたいのが出自です。同社は2017年の創業当初、特注部品の受発注プラットフォームを手がけ、世界トップ3規模の取扱量に到達しています。図面を読み、加工先を探し、原価を積むという実務を自社の事業として回してきた——その過程で必要になった技術が、現在のプラットフォームの中核です。外部からソフトウェアを持ち込んだのではなく、自らの調達事業の中で生まれた仕組みだという点が、汎用の文書管理システムとの違いを生んでいます。
図面データを単なる保管庫にとどめず、AIによる解析や検索機能を駆使した一貫性のある設計支援を提供します。
手書きの指示や諸元表を含む、図面上の文字情報をAIが自動でデータ化。形状そのものも解析して抽出するため、過去の設計意図や加工ノウハウを業務改善に直接活用できるようになります。
図面をシステムにアップロードするだけで、文字や形状から必要な情報を瞬時に引き出せる環境を構築します。
独自の画像解析アルゴリズムにより、ファイル名やフォルダ階層に依存しない図面検索が可能。形状の特徴からデータベース全体を横断して類似図面を検出し、図面内のテキスト情報を対象とした精度の高いキーワード検索機能を提供します。
図面の属性値をキーとして、関連する各種情報を自動的に紐づける機能を搭載。設計資料、過去の発注実績、CADファイルなどの関連文書を統合的に管理することで、部品調達や設計変更における意思決定の精度とスピードを飛躍的に向上させます。
プラットフォームは4層で構成されています。形式も粒度もバラバラな製造業データを解析する「データレイヤー」、解析結果の意味を理解してデータ同士を紐づける「セマンティックレイヤー」、業務データを横断探索してインサイトを得る「ディスカバリーエンジン」、そして設計・調達・生産技術など各部門に特化したアプリケーション群です。
重要なのは最後の層で、現場の判断や結果が自動でデータ化され、生成と活用が循環する設計になっています。「入力担当者を置かないと陳腐化する」という従来型データベースの弱点に、構造で対処しようとしている点が特徴です。
最も効果が出るのは、「過去に作った図面が大量にあり、それを誰も引き出せていない」状態です。得意領域を5つの観点で整理します。
設計者ごとに似た部品の新図が起こされ、その分だけ金型や治工具が増える——多品種を扱う企業でほぼ必ず起きる現象です。同社の支援では、ある部品群で120種類以上あった図面を15種類まで集約した実績が公開されています。
効くのは図面の枚数削減ではなく、その先です。金型・治工具の新規製作、部品番号の管理、在庫の分散、調達ロットの細分化——標準化はこれらすべてに波及します。同じ川崎重工の案件では、調達・原価企画部門が主導する形で数千万円規模のコスト適正化に至っています。
類似図面と過去の発注実績が紐づけば、「この形状・材質・公差なら、いくらが妥当か」を担当者の記憶に頼らず参照できます。公開されている成果には、産業機械メーカーでの年間調達コスト30%削減という数字も挙がっています。
ベテランの退職で見積り査定の精度が落ちる、という課題は多くの調達部門に共通します。図面という共通言語を軸に据えるアプローチは、この移管に向いています。
環境規制物質の含有調査、代替品の影響範囲の洗い出し、特定材料を使った部品の抽出——いずれも該当図面を漏れなく特定する必要があり、人手では膨大な時間がかかります。
公開事例では、大手半導体製造装置メーカーで環境規制物質の使用有無調査の工数を90%以上削減。大手自動車メーカーでは10万時間規模の業務効率化が示されています。検索の網羅性がそのまま成果になる業務は、最も投資対効果が見えやすい領域です。
注力業界として掲げられているのは、自動車系、建設機械、重工業・重電、機械・デバイス、プラント・化学。図面1枚あたりの金額が大きく、製品寿命が長く、都度設計が発生する領域です。
逆に言えば、量産一品種を大量に作り続けるビジネスや、そもそも図面の蓄積が少ない領域では、投資に見合う効果を出しにくい構造になります。
顧客は22カ国に分布し、同社自身も米国シカゴ、ベトナム(ホーチミン・ハノイ)、タイ(バンコク)に拠点を構えています。国内も東京本社に加え、関西・名古屋・福岡に拠点があります。
公開事例のなかには「バリューチェーンデータの全社標準化」を掲げるものもあり、拠点や事業部ごとにフォーマットが分かれた図面資産を、ひとつの土台に載せ直す用途にも対応できると考えられます。
企業名が非公開の事例についても、成果が数値で示されています。
| 大手自動車メーカー | 10万時間の業務効率化を実現 |
|---|---|
| 大手半導体製造装置メーカー | 環境規制物質の使用有無調査の工数を90%以上削減 |
| 産業機械メーカー | 年間の調達コストを30%削減 |
| 川崎重工業 | ある部品群の図面を120種類以上から15種類へ標準化、数千万円規模のコスト適正化 |
並べてみると、成果指標が「工数」と「調達コスト」の2種類に集約されていることが分かります。売上や新製品数ではありません。既存の業務をどれだけ軽くできるかが価値の中心であり、稟議で示す効果もこの軸で組み立てるのが現実的です。
キャディの最大の特徴は、従来の文書管理システムのように「データの整理や入力を人間が行う」のではなく、AIによる高度な図面解析技術を用いて、散在する「図面データそのもの」をダイレクトに「活用可能なナレッジ」へと昇華させる点にあります。
また、製造業の業務フローを熟知した専門家が、単なるIT導入に留まらず、現場の属人化解消から原価低減のプロセス構築までを伴走支援するスタイルも、他社にはない強みです。既存の図面資産を最大限に活用し、設計・調達部門の意思決定を「データドリブン」なものへと刷新したい企業にとって、キャディは強力なパートナーと言えるでしょう。
製品開発を成功させるためには、現在の自社が抱える課題に合ったコンサルティング会社を見極めることが重要です。当メディアでは、こうした「モノづくりの課題別」に、おすすめの製品開発コンサルティング会社を厳選して紹介しています。プロジェクトを前進させるための最適なパートナー選びに、ぜひご活用ください。
製品開発において、過去の優れた設計資産が十分に活用されず、設計担当者ごとに似たような部品の図面(新図)を都度作成してしまうという課題がありました。その結果、製造用の金型や治工具も部品ごとに新規で必要となり、開発・製造コストの肥大化や、設計プロセスの複雑化を招きやすい状況にありました。
加えて、各部門で課題の捉え方がバラバラだったという背景も公開されています。設計は設計の、調達は調達の困りごとを抱えているものの、共通の土台がないため議論が噛み合わない。結果として、力関係で押し切る「パワープレー」的な進め方に頼りがちだった構図です。
キャディ(CADDi)のプラットフォームを用いて過去の膨大な設計データを解析・可視化し、設計チームが自発的に過去図面の比較検討を行える環境を構築。結果として、ある部品群において120種類以上存在していた図面を、わずか15種類にまで「標準化」することに成功しました。これにより、不要な金型や治工具の制作を根本から削減し、設計段階におけるVE(価値工学)とコスト適正化を実現しています。
さらに、同じデータを全部門が見る状態になったことで部門間の課題感が統一され、調達・原価企画が主導する形で数千万円規模のコスト適正化に到達しました。ツール導入の効果というより、議論の共通言語ができたことによる組織的な変化として語られている点が示唆的です。
同社は複数の大手メーカーの事例を実名で公開しています。自社に近い規模・業種の事例を探す際の起点になります。
| デンソー | 「手戻りゼロ」を掲げ、AI活用による余力創出とリードタイム短縮に取り組む |
|---|---|
| SUBARU | 「ひとつのSUBARU化」を進め、バリューチェーンデータの全社標準化を目指す |
| YKK | 一貫生産を支えてきた「暗黙知」の資産化に取り組む |
| Astemo | 「まずやってみる」から始めた業務変革 |
| ヤンマーホールディングス | 現場と一体で進める「草の根DX」による人材の活人化 |
| 明電舎 | 導入から1年弱で業務に不可欠なプロダクトに。設計効率向上と工場改革の第一歩 |
| 川崎重工業 (別プロジェクト) |
システムを内製化したが効果が持続しなかった状態から、継続的に結果を出す仕組みを構築 |
川崎重工の別プロジェクトは、システムを自社で内製化したものの効果が持続しなかった状態からの立て直しです。図面検索の仕組みは社内でも作れますが、運用の手間で形骸化する——この経験を持つ企業は少なくありません。一度自作を試した組織ほど、課題の解像度が高い状態で相談できると言えます。
明電舎の事例は「導入から1年弱で業務に欠かせないプロダクトに」と表現されています。数か月で完結する施策ではなく、現場に習慣として根付くまでの助走がある前提で計画を立てる必要があります。逆に、その期間を伴走前提で見込めるかどうかが導入判断の分かれ目です。
川崎重工の成果は調達・原価企画部門が主導し、明電舎は工場改革の第一歩と位置づけられ、ヤンマーは人材活用の文脈で語られています。図面という共通データを介して、設計・調達・生産技術・工場が同じ話をできることが本質的な価値であり、どの部門から始めるかは設計次第だと考えられます。
提供の中心はプラットフォームであり、伴走支援はその活用を定着させるためのものです。「製品の仕様を一緒に決めてほしい」「試作を代行してほしい」といった開発実務そのものは範囲外です。既存資産の活用効率を上げたいならキャディ、目の前の試作や量産が詰まっているなら別の選択肢——という切り分けになります。
価値の源泉は過去の図面と発注実績です。図面の枚数が少ない、あるいは製品が単一で都度設計が発生しない企業では、投資に見合う効果を出しにくい構造にあります。逆に、数万枚以上の図面が部門やサーバーに散らばっているなら、効果の見積もりは立てやすくなります。
費用は公表されておらず、導入相談はフォーム経由です。公式サイトでは「どこから変えるべきか、その意思決定から伴走する」と案内されているため、対象部門と図面の総数、現在かかっている検索・調査工数、優先して解きたい業務を整理して持ち込むと、効果試算まで進みやすくなります。セミナーやホワイトペーパーも公開されており、比較検討の前段で情報を集める手段があります。
設計図面は製造業にとって最重要の機密情報です。同社はセキュリティに関する専用ページと情報セキュリティ方針を公開しているため、社内の情報セキュリティ部門を巻き込む前提で、早い段階から要件を突き合わせておくのが実務的です。ここが通らずに止まる案件は珍しくありません。
標準的な契約フローは公表されていません。導入相談は公式サイトの問い合わせフォーム(https://caddi.com/ja-jp/contact/)が窓口で、「どこから変えるべきか」という意思決定の段階から伴走する姿勢が示されています。事前情報の収集手段として、セミナーおよびホワイトペーパーの提供もあります。
| 社名 | キャディ株式会社 |
|---|---|
| 代表取締役 | 加藤 勇志郎 |
| 創業 | 2017年 |
| 従業員数 | 911名(2026年7月1日時点/グローバル) |
| 資本金 | 257.3億円(資本準備金含む) |
| 所在地 | 東京都台東区浅草橋4-2-2 D'sVARIE浅草橋ビル(総合受付6F) |
| その他の拠点 | 関西、名古屋、名古屋オペレーションセンター、福岡/アメリカ(シカゴ)、ベトナム(ホーチミン・ハノイ)、タイ(バンコク) |
| 注力業界 | 自動車系、建設機械、重工業・重電、機械・デバイス、プラント・化学ほか |
| 公式HPのURL | https://caddi.com/ |
製品コンセプト開発、試作~量産移行、ディスコン対応と言った、プロジェクトの停滞を引き起こすボトルネックを打破する3社を厳選しました。
※1 参照元:アーサー・ディー・リトル公式(https://www.adlittle.com/jp-ja/about)
※2 参照元:トヨタ公式「2025年 年間(1月-12月)販売・生産・輸出実績」2026年1月29日発表(https://global.toyota/jp/company/profile/production-sales-figures/202510.html)
※3 参照元:【PDF】テクノプロ・デザイン(https://www.technopro.com/it/rec_c/wp/wp-content/themes/wp-templ/assets/img/technoproit_career.pdf)※2024年6月末時点