試作から量産への高い壁や、製造委託先の選定に悩む新規事業・起業家に向けて、実務レベルで製品化を後押しするMonozukuri Ventures(モノづくり・ベンチャーズ)の強みや得意領域、事例を解説します。
構想段階から量産化までを実務レベルで伴走し、設計精査・仕様整理・再試作・メーカー選定・品質検証までを一貫して支援。「設計と製造現場の調整が難航している」「適切な委託先選定や品質確保に不安がある」といった課題を抱える担当者は、ぜひ参考にしてください。
Monozukuri Venturesは、日米に拠点を構え、ハードテック領域に特化したベンチャーキャピタルです。投資のみならず、試作や量産化を直接支援する専門チームを擁しており、高品質な製品を少量でも素早く生産・販売できる世界の実現をミッションに掲げています。
アイデア段階のスタートアップが直面する資金や技術の課題に対し、ハードウェアビジネス特有の知見を基盤とした包括的なサポートを提供。独自の技術コンサルティングに加え、VCとしての資金提供、オープンイノベーション、マーケティング支援といった多角的なサービスを展開しています。
特徴を一言で言えば、コンサルティングではなく「手を動かす」技術伴走型の支援という立ち位置です。同社は自らこの点を明確に区別しており、実際の成果も「1か月で再試作を完了させた」「予定通りのスケジュールで1000台の量産を実現した」といった現物と納期の言葉で語られます。戦略資料の精度を上げるサービスではありません。
単なるアドバイスにとどまらず、ハードウェア開発に必要な資金、技術、市場展開を多角的に支援します。
設計データの精査、製造性を考慮した設計(DFM)の実施、適切な製造パートナーの選定など、量産化への移行を技術面から具体的に支援します。試作から量産という、最も失敗しやすい「死の谷」の突破を現場レベルでサポートします。
ハードテック特化型のファンドから資金提供を行うとともに、事業開発チームがビジネスモデルの構築や市場参入戦略の策定を専門的に支援。資金面と経営面の両輪からスタートアップの成長を加速させます。
大企業とのマッチングを通じた共同開発や技術提携を推進。また、ハードウェア製品の魅力を最大化するためのマーケティング戦略を立案し、製品リリース後の市場浸透やファン獲得までをトータルでサポートします。
事業会社の中で使われていない技術・知財・人材を起点に、起業経験者であるバーチャルCEO(V-CEO)が伴走し、テーマ選定から事業仮説の構築、顧客検証、事業化、外部資本との接続、独立事業体の創出までを一貫して支援するプログラム「KAP Studio」を展開しています。
この取り組みはNEDOの「事業会社等が保有する革新的な技術を活用したカーブアウトによるディープテック・スタートアップ創出等促進事業」の実証事業に採択されており(実施期間:2026〜2027年度)、まず京セラと連携してカーブアウト創出モデルの実証に取り組む段階に入っています。「技術はあるが社内では事業にならない」という大企業側の課題にも入口があります。
最も力を発揮するのは、「試作はできた。でも量産で詰まっている」という一点です。得意領域を5つの観点で整理します。
公開されている支援実績の1件目は、海外EMSで基板が立ち上がらず、現地とのトラブルも多発していた案件です。回路設計と基板設計を精査し、国内業者へ仕様を最適化して置き換えることで、1か月で再試作を完了させ、その後の量産もスムーズに進んでいます。
2件目は、試作品と量産品で仕上がりや精度が異なり量産化に不安があった案件。金型メーカーの選定、設計調整、品質検証を支援し、予定通りのスケジュールで1000台の量産を実現しました。いずれも「委託先とうまくいっていない」という、外からは見えにくい詰まりを解く仕事です。
掲げるミッションは「高い品質の製品を、少量でも素早く生産・販売することができる世の中」の実現です。実績として挙がるロット規模も1000台。数十万台を前提とした量産設計コンサルティングとは、狙う土俵がそもそも違います。
「小ロットでは工場が受けてくれない」「量産と呼べる数ではないが、試作の延長でも回らない」という中間の規模帯に軸足を置いている点は、ハードウェアスタートアップや新規事業の初号機フェーズと正面から噛み合います。
製造パートナーの紹介は、案件内容に応じて同社のネットワークから行われます。この裏側にあるのが二層のパートナー構造です。
試作を担うTechnical Partnersには京都試作ネット、三井化学、安田工業などが名を連ね、量産化・事業開発を担うInvestment Partners(ファンド出資者)にはDMG MORI、SHIMADZU、ROHM、THK、YANMAR、maxell、村田機械、EXEDY、GLORY、MUSASHIといった製造業が並びます。紹介先が「取引先」ではなく「株主・出資者」であることが、単なるマッチングとの違いです。
2015年8月の設立以来、日米で50社を超えるハードテックスタートアップに投資しており、公開ポートフォリオには約60社が並びます。拠点は京都・ニューヨーク・トロントの3ヶ所。
2022年には米フォーブス誌の「The Top 40 Investors In Industrial Tech」で紹介されており、海外での資金調達や販路を見据えるなら、投資家としての被視認性も判断材料になります。京都にはファブスペース「Kyoto Makers Garage」も構え、3Dプリンター、レーザーカッター、CNC加工機などを備えています。
プロジェクトマネージャーには、大手電機メーカーで生産技術開発の部門統轄や海外工場の生産改善、DVD関連製品の事業責任、デジタルカメラの回路設計とプロジェクトリードなどを務めた人材が就いています。50を超える試作・量産・製品開発プロジェクトを手がけたメンバーも在籍しています。
光学・電気・機械・ソフトウェアを横断できる経歴は、「回路のせいか、機構のせいか、工場のせいか」の切り分けが必要な局面で効いてきます。
Monozukuri Venturesは、ハードテック特化型のベンチャーキャピタルとして、投資と技術コンサルティングの両輪でスタートアップの成長を加速させる独自の立ち位置を確立しています。アイデアを形にするための試作支援から、量産化の壁を突破するための工場選定、そして事業を拡大させるための資金調達やマーケティングまで、ハードウェアビジネスに必要な要素をワンストップで提供できる点が最大の強みです。
製品開発を成功させるためには、現在の自社が抱える課題に合ったコンサルティング会社を見極めることが重要です。当メディアでは、こうした「モノづくりの課題別」に、おすすめの製品開発コンサルティング会社を厳選して紹介しています。プロジェクトを前進させるための最適なパートナー選びに、ぜひご活用ください。
費用は「時間単価 × 工数」で算出されます。単価は公開されており、目安は次の通りです。
| スタートアップ | 10,000円/時間(税抜) |
|---|---|
| 一般的な技術課題 | 10,000〜20,000円/時間(税抜) |
| 大企業案件・高難度 | 要相談 |
注目すべきは工数の目安で、多くの場合は月30時間以内で完結すると明記されています。単価から逆算すれば、月あたり30万円前後の規模から相談できる計算になります。数千万円規模のプロジェクトが前提となる戦略コンサルティングとは、検討のハードルがまったく違う水準です。
提案・見積もりまでは基本的に無料(複雑な見積もりが必要な場合は費用が発生することがあります)。初回面談も無料と案内されています。「まず詰まっている箇所を見てもらう」段階から発注できるのは、社内予算を大きく動かせない新規事業担当者にとって現実的な選択肢です。
呼吸器センサーを用いた「見守りシステム」の製品化を目指してスタートしたプロジェクトです。PoC(概念実証)による技術検証はすでに完了していましたが、その後の本格的な製品開発や事業化に向けた知見を必要とするフェーズにあり、ビジネスプランの精度向上や、量産化に向けた設計ノウハウの獲得が課題となっていました。
テックコンサルティングチームが現状の課題を詳細に分析し、事業化に向けたビジネスプランの精度向上を支援しました。あわせて、製品の量産化を見据えた具体的な設計プロセスやノウハウを提供。ビジネスの成功確度を高めるためのロードマップと提案が高く評価され、現在も製品化に向けた継続的な伴走支援を行っています。
イトーキでは、「オフィス3.0」の世界を実現するソリューションの一環として、新たに電気的機能を搭載したオフィス家具の開発プロジェクトを進めていました。しかし、従来の家具開発とは異なるアプローチやノウハウが求められる新領域であったため、製品開発におけるより効率的な設計プロセスや、新たな開発体制の構築をどのように進めるべきかが課題となっていました。
テクニカルコンサルティングチームが参画し、イトーキ社内の品質管理システム(QMS)の詳細なレビューや、関連部門へのインタビューを実施しました。ハードウェア開発の専門家という第三者の視点から現状の課題を可視化し、体制構築に向けた具体的な解決策を提示。
このコンサルティングにより、今後の新機能を搭載した製品開発を効率的に進めるための、確かな道筋とロードマップを描くことに貢献しました。
海外EMS(電子機器製造受託サービス)に基板の製造を委託していたものの、基板が立ち上がらず、現地とのトラブルも多発していました。量産に進むどころか、動くものができないまま時間とコストが流出していく状態です。
回路設計と基板設計を一から確認し、国内業者へ仕様を最適化して置き換え。結果として1か月で再試作が完了し、その後の量産もスムーズに進みました。委託先の選定と仕様の翻訳という、設計とも製造とも言い切れない領域が詰まりの原因だった構図が見えてきます。
試作品と量産品で仕上がりや精度が異なり、このまま量産に進んで良いのか判断できない状態にありました。機構設計から筐体・組立にかけての領域は、図面上は問題なくても金型や工程の条件で結果が変わるため、経験がないと原因の切り分けが困難です。
金型メーカーの選定、設計調整、品質検証を支援し、予定通りのスケジュールで1000台の量産を実現しました。ハードウェア事業では、量産の遅延がそのまま販売機会と資金繰りに直結します。スケジュールを守れたこと自体が成果として語られている点は、この領域の実務感覚を映しています。
モーリスは2か月、イトーキは3か月。基板の再試作は1か月で完了しています。年単位で腰を据える契約ではなく、詰まっている一点を短期で抜く使い方が実際の姿です。「月30時間以内で完結するケースがほとんど」という料金説明とも整合します。
イトーキ、そして京セラとのカーブアウト実証が示す通り、依頼元には大企業の新規事業部門も含まれます。イトーキの案件は品質管理システム(QMS)のレビューと関連部門インタビューという、社内体制の診断でした。「ハードウェア開発の作法を知らない組織」であれば、規模は問われません。
公開されている利用者の声には「他社では断られた内容でも丁寧に聞いてくれて助かった」というコメントが並びます。仕様が固まっていない、ロットが小さい、原因が特定できていない——受け手を選びがちな案件が集まる構造だと考えられます。相談先を探して行き詰まっている段階でも、話を持ち込める余地があります。
問い合わせフォームは「投資に関する相談」「試作、量産などのモノづくりに関する相談」「その他」で分かれています。出資を受けなくても技術支援だけを有償で依頼できる構造なので、資本を入れたくない企業でも相談は可能です。逆に投資を求めるなら、入口を間違えないよう注意が必要です。
契約までの流れには「対応可否のご連絡」という工程が明示されています。どんな案件でも必ず受けられるわけではない点は、面談の前に把握しておくべきです。逆に言えば、受けると判断された時点で見通しは立っていると考えられます。
ヒアリングでは現状・目標・制約条件が問われます。現物や図面、委託先とのやり取りの経緯、目標ロット数と希望時期を揃えて持ち込めば、初回で工数の見立てまで進みやすくなります。時間単価での契約であるため、論点が絞れているほど費用は抑えられます。
国内拠点は京都のみで、営業所を全国に持つ体制ではありません。一方で海外は米国とカナダにオフィスを構えています。海外展開や海外調達を視野に入れる案件では強みになり、国内各地への常駐を求める案件では前提が合いにくい——この線引きを理解しておくと期待値がずれません。
| 社名 | Monozukuri Ventures (事業主体:株式会社Monozukuri Ventures Holdings/株式会社Monozukuri Ventures/Monozukuri Ventures, Inc.) |
|---|---|
| CEO | 牧野 成将 |
| 設立 | 2015年8月3日(株式会社Monozukuri Ventures) |
| 所在地 | 京都市下京区朱雀宝蔵町34番地 梅小路MArKEt3F |
| 海外拠点 | ニューヨーク、トロント |
| 投資実績 | 日米のハードテックスタートアップ50社超 |
| 公式HPのURL | https://monozukuri.vc/ja/ |
製品コンセプト開発、試作~量産移行、ディスコン対応と言った、プロジェクトの停滞を引き起こすボトルネックを打破する3社を厳選しました。
※1 参照元:アーサー・ディー・リトル公式(https://www.adlittle.com/jp-ja/about)
※2 参照元:トヨタ公式「2025年 年間(1月-12月)販売・生産・輸出実績」2026年1月29日発表(https://global.toyota/jp/company/profile/production-sales-figures/202510.html)
※3 参照元:【PDF】テクノプロ・デザイン(https://www.technopro.com/it/rec_c/wp/wp-content/themes/wp-templ/assets/img/technoproit_career.pdf)※2024年6月末時点