製品設計のプロセスとは

目次
製品設計とは、企画されたコンセプトを「製造可能な仕様」へと翻訳するエンジニアリング工程です。製品の品質やコストは、設計段階での意思決定に、大きく影響されると言われています。 ここでは、モノづくり知見のない組織が陥りやすい致命的なトラブルを防ぐための正しい製品設計のプロセスと、知っておきたい注意点を具体的に解説します。

製品設計の主なプロセスと注意点

構想検討・基本設計

企画段階で描いた「やりたいこと(価値)」を、具体的な技術仕様(スペック)へ落とし込むプロセスです。具体的には、製品に求められる機能、サイズ、重量、そしてターゲットとなる原価を定義します。アイデアはあるが、具体的な製品やサービスはまだ形になっていないこの段階では、特に「最小構成で価値検証を行う(MVP)」ための骨格を固めることが、重要な目的となります。

構想検討・基本設計における注意点

この段階における最大の落とし穴は、顧客の要望をすべて叶えようとして、製造の難易度やコストを度外視した過剰な仕様を固めてしまうことです。例えば、「極限まで薄くしたい」という意匠的なこだわりが、後の工程で「特殊な加工機でしか作れず、1個あたりの単価が予算の3倍になる」という事態を招くことがあります。この段階で「いくらで作るか(原価企画)」と「既存の技術で実現可能か」という視点が抜けると、プロジェクト全体が空中分解する原因となります。

機能試作(PoC:概念実証)

定義した仕様に基づき、実際に動作する個体を数台製作するプロセスです。目的はあくまで「提供価値の妥当性」を確認することにあります。3DCADでのモデリングだけでなく、3Dプリンターやありものの汎用部品を組み合わせたプロトタイプを作り、実際に手に取れる状態にしてユーザー評価を行います。

機能試作(PoC:概念実証)における
注意点

「職人が手作業で調整して動かした1台」の成功を、そのまま「製品の完成」と捉えてしまうケースは少なくありません。プロトタイプは高価な素材や手加工で成立していますが、そのままの構造では工場での自動組み立てや金型成形が不可能なケースがほとんどです。「試作は1ヶ月でできたから、量産もすぐだろう」と甘く見積もると、量産設計に入った瞬間に構造の全面見直しが必要になり、半年以上の遅延が発生する「死の谷」に突き当たります。

詳細設計・量産試作

1個作れる設計から、1万個作っても品質がバラつかず、かつ安く作れる設計(DFM:製造容易性設計)へと翻訳する段階です。金型を抜くための「抜き勾配」の検討、組み立てミスを防ぐための構造(ポカヨケ)、部品点数の削減など、製造現場の制約をすべて図面に反映させます。エンジニアリングにおいて、最も量産のノウハウや知見が問われるプロセスのひとつです。

詳細設計・量産試作における注意点

製造の知見がないまま図面を完成させてしまうと、工場側から「この形状では金型が作れない」「この公差(精度の許容範囲)では不良品が多発する」といった拒絶を受けます。金型を一度発注してしまった後に設計ミスが発覚すると、金型の作り直しに追加費用がかかるだけでなく、市場投入のタイミングも逸してしまうことにつながりかねません。この設計段階でいかに詰め切れるかどうかが、歩留まり(良品率)の成否を分けます。

機械設計の外注方法と活用について

「量産の壁」を越えるためには高度なエンジニアリング知見が求められますが、すべてのプロセスを自社リソースだけで完結させる必要はありません。別の記事では、機械設計の要件定義や詳細設計のプロセスにおいて、どのように外部パートナーの技術力を取り入れ、開発をスムーズに進めるかについて詳しく解説しています。設計業務のアウトソーシングに関する基礎知識として、あわせてご一読ください。

筐体設計の依頼で押さえておきたいこと

製品の第一印象を決める外観デザインでありながら、同時に内部の精密部品を保護する「筐体(ケース)」の設計は、意匠性だけでなく、量産時の歩留まりやトータルコストを大きく左右する重要な工程です。別の記事では、プロに筐体設計を依頼するメリットに加え、曖昧な発注による金型費用の高騰や致命的な手戻りを防ぐために、依頼前に整理しておくべき「要件定義のポイント(想定生産数量、目標コスト、要求スペックなど)」について詳しく解説しています。外観のアイデアを現実的な「作れる仕様」へと落とし込むための基礎知識として、あわせてご一読ください。

製品設計で失敗しないポイント

製品設計において、手戻りをおさえプロジェクトを成功させるポイントは、「後の工程で起きるトラブルを、前の工程でいかに予見し、潰しておくか(フロントローディング)」に尽きます。

一方で、特にモノづくりの経験が少ない企業にとって、設計段階で量産を見据え、失敗のリスクを回避するのは至難の業と言えるでしょう。要件定義という最も重要な上流工程からプロを介在させることで、結果として大きな手戻りを防ぎ、最短距離で製品化を実現できる可能性が高まります。

当メディアでは、量産までを見据え、「技術はあるが活かせない」「モノづくりの経験がない」といった製品開発の課題に対し、ノウハウと知見のあるコンサル会社を比較紹介しています。パートナー選びの参考に、ぜひお役立てください。