製造業における製品開発改革をテーマに、企業の開発組織やプロセスの変革を支援している「フューチャーシップ」。横浜を拠点に、日本の製造業が抱える開発力や収益構造の課題に対し、コンサルティングと人材育成の両面から支援を行っています。フューチャーシップが提供する製品開発支援の特徴や得意領域、具体的なサポート内容について解説します。
フューチャーシップは、横浜を拠点に日本全国の製造業を対象として、製品開発に起因する経営課題の解決を専門とするコンサルティングサービスです。
「品質向上のためにチェックリストを増やし、効率化のためにITツールを導入したものの、現場の疲弊が進み、根本的な開発スピードや品質が改善しない」という悩みを抱える製造業も少なくありません。同社の特徴は、そうした表面的な対策ではなく、社員一人ひとりの「個の力(思考力)」と、文化としての「組織力」の根本的な変革にフォーカスしている点にあります。
グローバルな開発現場での知見や、トヨタのリーン製品開発手法・TOC(制約の理論)などを研究したノウハウを統合し、独自の「連鎖式組織改革法」を活用。現場のモチベーションや自主性を高めながら、ムダを徹底的に排除した短期開発体制の構築を段階的に推進します。
同社が置いている診断は明快です。長期にわたって「開発の大量生産」を続けた結果、負の連鎖の根本に「個人」と「組織」の“考える力”の低下がある——これが出発点になっています。だからこそ、手法やツールの導入ではなく思考力の立て直しから入る、という順序を取ります。
もうひとつの特徴が規模です。2017年5月設立、代表は賀門宏一氏。日米中欧の開発現場と複数の製品領域を実際に経験した専門家が、少数で直接入る形態であり、大手ファームのようにチームを組んで投入する体制ではありません。この点は後述する費用感にも直結します。
製品開発を根本から見直すことで、開発期間の40%短縮※を実現する支援サービスを提供しています。
企業の製品開発プロセスや開発組織が抱える「真のボトルネック」を分析し、解決に向けたコンサルティングを提供します。単なるルールの押し付けではなく、開発効率や収益改善につながる戦略策定から実行までを伴走し、組織全体が自律的に課題を解決できる「勝ち続ける組織」への変革を目指します。
中核となる「連鎖式組織改革法」は、問題の本質を捉え、経営目標とリンクした改革目標を立て、施策アイデアを客観的評価で追い込み、障害や副作用を事前に回避する計画策定法と、組織が変わるまでの時間軸を織り込んだ実行支援を組み合わせたものです。
組織改革と並行して、現場で手を動かす技術者や開発担当者の「個の力」を底上げします。マーケティング思考やロジカルシンキングといった問題解決手法に加え、プロジェクトマネジメントなどの実践的スキルを研修を通じて伝授。技術者が自ら考え、行動できるマインドセットを定着させることで、企業の開発力を内側から強化します。
鍛える対象は論理思考力・抽象化力・本質力・質問力・ストーリー力の5つ。知識を増やすのではなく、考える力そのものを強化して一人ひとりが動ける状態にする、という設計です。
組織側では、自社棚卸し、ゴール設定、イノベーションの本質理解、収益向上のための重要3要素、儲かる戦略策定に取り組み、価値観を統一してコミュニケーションを変えていきます。
実行フェーズでは知識ベース開発、A3報告書によるナレッジ管理、継続的成長に向けた組織再構築まで踏み込みます。A3報告書はトヨタのリーン開発に由来する手法で、失敗を含む経験を組織の資産として残す仕組みです。
サービス提供方法は状況に合わせてカスタマイズされます。公開されている例は「月2回の定期訪問で社員研修とプロジェクト実行支援」「週1回のオンサイト・プロジェクト支援」「月1回の社員研修」など。関与の濃さを予算と目標に応じて調整できる設計になっています。
最も力を発揮するのは、「施策は打ってきたのに、現場が動かない」状態の開発組織です。得意領域を5つの観点で整理します。
チェックリストを増やす、ITツールを導入する、ルールを追加する——こうした対策を重ねた結果、現場が疲弊しているのに成果が出ない。この状態が同社の主戦場です。
示されている診断は「改革アイデアや業務改善のための施策が機能しない理由は、因果関係で改革を設計していないから」というもの。施策を並べるのではなく、原因と結果の連鎖を辿って設計し直すのが「連鎖式」という名称の由来です。過去に改革が失敗した経験のある組織ほど、噛み合う領域だと言えます。
活用する手法として掲げられているのはトヨタのリーン製品開発手法、TOC(制約の理論)、ジョブ理論(Jobs to be Done)の3つ。特にリーン製品開発とセットベース開発は、記事・セミナーでも繰り返し扱われる中心テーマです。
ここで同社が強調するのは「開発手法やツールを鵜呑みにせず、企業の実態に合わせて改革を進める」という姿勢です。書籍どおりに導入して形骸化した、という失敗の後始末を含めて相談できる領域になります。
コンサルティングと並行して、技術者向けの人材育成サービスを主力の一角に据えています。一般向けのオープン研修(技術者向けスキルアップ講座)も別サイトで運営中。
「若手が育たない」「言われたことしかやらない」という課題は、制度や配置をいじっても解けません。論理思考や本質を捉える力といった土台を、研修とOJTの組み合わせで鍛えるアプローチを取れる点が特徴です。
公開されているサービス提供事例は、中堅計測器メーカー(開発プロセス改革)、金属加工メーカー(新規事業立ち上げ支援)、大手家電メーカー(開発期間短縮)、公立研究機関(人材育成支援)、医療機器メーカー(開発戦略立案と実行支援)の5件。
大手から中堅、さらに公立研究機関まで含まれており、規模で対象を絞っていないことが分かります。製品領域も計測器・金属加工・家電・医療機器と横断しており、業界知識ではなく組織改革の型を武器にしていることが読み取れます。
サービス提供手順の第一歩に「経営幹部の方一名以上を含む推進チームを作る」と明記されています。改革目標を経営目標とリンクさせる設計思想である以上、現場だけで完結する依頼にはなりません。
逆に言えば、経営層のコミットが取れる状態なら、戦略策定から現場のプロセス決定まで一本の線で繋げられるということです。トップと現場が一体になる改革システムとして日産のV-upを取り上げた記事も公開されています。
フューチャーシップの製品開発支援は、表面的な効率化やツール導入にとどまらず、「連鎖式組織改革法」を用いて人(技術者)と組織風土の根本的な変革を促すコンサルティングサービスです。
同サービスの強みは、開発プロセスの見直しと同時に、それを運用する技術者の思考力向上までをワンストップで支援できる点にあります。「システムを導入したが現場が使いこなせていない」「若手技術者が育たず、属人的な開発から抜け出せない」といった、人と組織のマネジメントに根深い課題を抱える企業にとって、極めて頼もしいパートナーとなるでしょう。
製品開発を成功させるためには、現在の自社が抱える課題に合ったコンサルティング会社を見極めることが重要です。当メディアでは、こうした「モノづくりの課題別」に、おすすめの製品開発コンサルティング会社を厳選して紹介しています。プロジェクトを前進させるための最適なパートナー選びに、ぜひご活用ください。
費用は目標と期間、関与の度合いによって決まりますが、参考価格が公開されています。
| 月1回程度の支援 | 約15万〜20万円/月(参考価格) |
|---|---|
| その他の提供形態 | 月2回の定期訪問(社員研修+プロジェクト実行支援)、週1回のオンサイト支援 など |
| 初回相談 | 無料(訪問またはビデオ会議。関東圏から遠方の場合は交通費を相談) |
| 見積もり | 無料相談後、要望に応じて作成 |
注目したいのは価格帯です。月15万〜20万円という水準は、大手ファームのプロジェクト費用とは桁が違います。年間で見ても200万円台からの試算が立つため、大規模な改革予算を確保できない中堅・中小メーカーでも検討の土俵に乗ります。
一方で、この価格は関与の頻度に応じたものです。週1回のオンサイト支援など密度を上げれば費用は変わります。「どこまでを自社でやり、どこを外から入れるか」を先に決めるほど、見積もりの精度が上がる構造になっています。
個別の詳細事例は公表されていませんが、支援した企業と改革テーマの組み合わせが公開されています。
| 中堅計測器メーカー | 開発プロセス改革 |
|---|---|
| 金属加工メーカー | 新規事業立ち上げ支援 |
| 大手家電メーカー | 開発期間短縮 |
| 公立研究機関 | 人材育成支援 |
| 医療機器メーカー | 開発戦略立案と実行支援 |
プロセス改革、新規事業、開発期間短縮、人材育成、戦略立案。同じ「連鎖式組織改革法」を軸にしながら、依頼側の言葉に合わせて入口が変わっているのが分かります。自社の困りごとがどの表現に近いかで相談の切り口を選べます。
大手家電メーカーと中堅計測器メーカー、そして公立研究機関。規模も組織形態も揃っていません。少人数で直接入る形態であるため、大企業の一部門から中堅企業の全社まで、支援の単位を柔軟に切れると考えられます。
金属加工メーカーの新規事業立ち上げは、まだ何もない状態からの支援。一方、大手家電メーカーの開発期間短縮は、既存プロセスの立て直しです。組織を変える手順そのものが商品なので、対象が新規か既存かを問わないという性質が表れています。
支援手順の初期段階で「経営幹部の方一名以上を含む推進チームを作る」ことが明示されています。現場だけで改革を回そうとする依頼の仕方とは合いません。相談の前に、誰を推進チームに置けるかの目星をつけておくと、初回から具体的な話に入れます。
リーン製品開発やTOCを扱いますが、「手法を指導するのではなく、根本問題を見つけて戦略的に改革する」と明記されています。「リーン開発を導入したいので教えてほしい」という依頼は、まず問題の再定義から始まる可能性が高いと理解しておくのが適切です。
提供価値は組織とプロセス、そして人の思考力です。試作品の製作、加工先の選定、量産の立ち上げといった実務そのものは支援範囲に含まれません。「作れる相手がいない」という課題なら、モノづくり実務側の選択肢を並べて検討する必要があります。
同社は「まずは面談によってコミュニケーション力をお試しください」と案内し、無料の個別相談を用意しています。少人数で直接入る形態である以上、担当者との相性がそのまま成果に影響します。過去にうまくいかなかった施策とその理由を持ち込むと、診断力を測る材料になります。
リーン開発、マーケティング、TOC、人材育成、経営・戦略のカテゴリで記事が多数公開され、セミナーも定期開催されています。考え方が自社の課題認識と合うかを、問い合わせ前に読んで確かめられるのは実務的な利点です。
なお、契約後の支援は次の4段階で進みます。①戦略編(経営幹部を含む推進チームの組成、戦略立案の理論・ツール習得、ポジショニングと情報戦略の仮説立案、教育プログラムの策定)→②社内展開編(技術・企画を中心に理論と手法を全体で学び、社内プロセスの改善方法を合意。プロセスやルールを現場主導で決め、戦略に沿った新製品プロジェクトを立てる)→③プロジェクト実行編(設定したプロセスで推進し、PDCAを回して戦略やプロセスを見直す)→④ゴール到達と社内への定着。
| 社名 | フューチャーシップ株式会社 |
|---|---|
| 設立 | 2017年5月 |
| 代表者 | 代表取締役 賀門 宏一 |
| 事業内容 | 製品開発改革コンサルティング(主力)、技術者向け人材育成サービス |
| 活用手法 | 連鎖式組織改革法(独自)、トヨタのリーン製品開発手法、TOC(制約の理論)、ジョブ理論 |
| 参考価格 | 月1回程度の支援で約15万〜20万円/月(初回相談・見積もりは無料) |
| 所在地 | 神奈川県横浜市青葉区あざみ野南1−3−1−608 |
| 公式HPのURL | https://futureship.jp/ |
製品コンセプト開発、試作~量産移行、ディスコン対応と言った、プロジェクトの停滞を引き起こすボトルネックを打破する3社を厳選しました。
※1 参照元:アーサー・ディー・リトル公式(https://www.adlittle.com/jp-ja/about)
※2 参照元:トヨタ公式「2025年 年間(1月-12月)販売・生産・輸出実績」2026年1月29日発表(https://global.toyota/jp/company/profile/production-sales-figures/202510.html)
※3 参照元:【PDF】テクノプロ・デザイン(https://www.technopro.com/it/rec_c/wp/wp-content/themes/wp-templ/assets/img/technoproit_career.pdf)※2024年6月末時点