工程設計の考え方と手順を解説

目次

製品設計(図面)が完了し、量産へ向けて動き出す際に重要となるのが「工程設計」です。工程設計とは、図面上の理想を「どのような設備・順序・条件で作るか」具体化し、4M(人、機械、材料、方法)の制約下で、不良品を出さずに安定して製造できる仕組み(生産ライン)を構築するプロセスを指します。ここでは、工程設計の基本的な進め方と、量産化で失敗しないための考え方について分かりやすく解説します。

工程設計の基本的なプロセス

抜け漏れのない工程設計を行うためには、図面の理解から試作検証まで、段階的にプロセスを踏む必要があります。まずは基本的な流れを確認しましょう。

図面分析と製造要件の整理

設計者が意図した機能や重要管理ポイントを読み解き、「この図面のまま、本当に工場で無理なく作れるか」を検証します。加工コストがかさみやすい形状や、不良発生のリスクが高い箇所があれば、具体的な根拠を示しながら設計部門へ形状変更や公差見直しの提案(DFM:製造容易性設計)を行います。

適切な工法と工程順序の決定

材質や形状、生産数量、目標コストを踏まえ、切削・プレス・射出成形など、製品特性に適した加工方法(工法)を選定します。さらに、単に形を作る順番だけでなく、「どこを基準面にするか」「どの順番で加工すれば精度が落ちないか」を考慮して工程の順序を決定します。

設備・治具・検査体制の計画

加工を行う機械の選定に加え、作業を安定させるための治具設計や、人のミスを未然に防ぐ仕組み(ポカヨケ)、さらに品質を保証するための検査具・検査方法までを総合的に計画します。量産時の品質のばらつきを抑えるための重要なプロセスです。

作業の標準化と試作検証

確定した手順を「作業標準書」や「QC工程表」へ落とし込みます。その後、実際に生産ラインを稼働させて試作を行い、寸法ばらつきや不良率をデータで確認します。課題があれば改善を繰り返し、量産開始の可否を判断します。

量産で失敗しないための
工程設計の考え方

ここでは、量産で安定した品質とコストを実現するためのポイントを解説します。

部分適正ではなく「物と情報の流れ」
で全体を見る

工程設計において陥りやすい罠が、「最新の設備やロボットを入れれば生産性が上がる」といった部分適正の思考です。

この罠を回避し、生産性向上を図るためには、個別の機械の性能を見る前に、工場全体における「物の流れ」と「情報の流れ」を可視化することが重要。図面が現場に届いてから完成品が出荷されるまでの全体図を描くことで、「どこで部品が停滞するのか」「どこで手戻り(やり直し)が発生するのか」というボトルネックが浮き彫りになります。このように全体適正の視点を持つことが、無駄のない製造ラインを設計するための条件です。

作業を「要素作業」まで分解し、
バラツキを排除する

「作業の標準化」と言うと、マニュアルを作るだけだと思われがちですが、熟練の現場では作業をさらに細かく分解します。

例えば、「A部品とB部品を組み立てる」という単位作業を、「ドライバーを取る」「ネジを入れる」「ネジを締める」といった「要素動作」のレベルまで分解し、そこに生じるムリ・ムラ・ムダを徹底的に分析します。人の勘やコツに依存する曖昧な部分を極限まで排除し、「誰がやっても同じ時間、同じ品質で仕上がる仕組み(再現性)」を構築することが、量産時の不良率を下げるカギとなります。

工程設計は「現場を知るプロ」の
領域

量産化を目指すうえで、コストや品質面で市場での競争力を高めるための工程設計を実現するには、単に適した工法を選ぶだけでなく、「工場全体の物の流れを設計する力」や「作業を要素レベルまで分解してムダを省く力」といった、製造現場に精通したプロフェッショナルの深いノウハウが求められます。

新規事業や初めてのハードウェア開発において、自社にこれらの製造ノウハウが不足している場合は、要件定義や工程設計から量産立ち上げまでを一気通貫で支援できる製品開発コンサル会社の知見を活用することが、プロジェクトを成功に導くための有効な選択肢となります。

当メディアでは、量産を見据えた工程設計やサプライチェーン構築に強みを持つ、製品開発コンサル会社を紹介しています。自社の課題に適したパートナー選びの参考に、ぜひお役立てください。