製造業の開発現場に入り込み、製品開発プロセスの改革だけでなく企業組織や事業そのものの構築・強化をサポートするオーツー・パートナーズを調査。製品開発支援の特徴や得意領域、具体的な支援内容、導入事例を解説します。
オーツー・パートナーズのコンサルティングの特徴は、製造業の製品開発現場に深く入り込み、プロジェクトの推進を実務レベルで支援する点にあります。単なる提案型のコンサルティングではなく、顧客企業の開発現場と密接に連携しながら課題解決を進める伴走型の支援を重視しています。そのため、メンバーの9割が元技術者※である点が特徴です。
20年にわたり培ってきた製造業に特化したコンサルティング・ノウハウを活用し、自動車や重工業、機械などの製造業における製品開発プロセスや組織運営に関する知見をもとに、開発プロジェクトのマネジメントや組織改革を支援。「DXを推進したいが進め方が分からない」「人材不足の慢性化でDX人材や現場のリーダーがいない」「ミッションやゴールが不明確」などの課題を解決します。
「9割が元技術者」という表現は抽象的に響きますが、出身企業が公開されています。トヨタ、本田技研工業、日産自動車、マツダ、SUBARU、デンソー、アイシン、ブリヂストン、ソニー、パナソニック、キヤノン、オリンパス、三菱電機、コニカミノルタ、ニコン。加えてコンサル・IT分野にはアクセンチュア、デロイトトーマツ、日本IBM、SIEMENS、PTCジャパン出身者が在籍します。開発現場の言語と、経営・PLMベンダーの言語を両方持つ構成です。
もうひとつ特筆すべきは、同社自身がメーカーを経営した実績です。2014年に射出成形用金型の設計・製造を営むIBUKIを子会社化し、8年にわたり経営に携わりました。自社のメソッドを注入してデジタル化と新規事業創出を進め、6年連続赤字で経営破綻寸前だった同社を1年で黒字化、年商を約3倍へ再生。この取り組みは「ものづくり日本大賞」で経済産業大臣賞(ものづくり+(プラス)企業部門)を受賞しています。助言する側が、自ら経営して結果を出したという裏づけは他社にない要素です。
これまでのコンサルティングの経験とAIの協創により、製造業のこれからを支援するサービスを提供しています。
製造業のDX推進を目的に、ビジョン共有からQCD(品質・コスト・納期)の改善、技術伝承まで、幅広い領域で課題解決を支援します。自動車、電機・精密機械、重工・エンジニアリング、食品、化学など、さまざまな業界の企業支援実績をもとに、各企業の事業構造や組織体制に合わせたアプローチを提案できます。
また、改革施策を現場に定着させることを重視しており、プロジェクトマネジメントのための人材派遣や、エンジニア教育・DX人材育成プログラムなども提供しています。製造業エンジニアを戦略思考の人材へ育成してきたノウハウを活かし、人材不足という製造業の課題解決にも取り組んでいます。
オーツー・パートナーズでは、コンサルタントの多くが製造業出身の技術者であるため、現場の状況を理解したうえで実行可能な改善を進められます。技術者と同じ視点で現場に入り込み、「自ら実行する」「共に進める」「やり方を伝える」といった形で支援します。
また、経営層と現場の橋渡し役として、経営方針を現場に理解されやすい形に落とし込む役割も担います。さらに、メソッドのひとつとして暗黙知の可視化・数理化を取り入れており、熟練技術者のノウハウを可視化する独自手法を活用。企業の強みを再定義し、新規事業開発や付加価値創出につなげる支援も行っています。
サービスは領域別に細分化されています。設計/DX領域ではモジュラーデザイン企画・推進、モデルベース開発(MBD)、設計自動化/受注生産プロセスの最適化。ECM/IT領域では3D CAD+BOM・PLM導入/高度活用、CAE導入/高度活用・1DCAE・解析主導型設計、AI導入、設計開発用AIエージェント活用。
エンジニアリング・PM領域には製品企画推進、設計開発/製品立上げ、新規設備導入・工場/ライン立上げ推進があり、「何を作るか」から「どう作る設備を立ち上げるか」までが同じ一覧に並んでいる点が特徴です。
生産/DX領域には「デジタルトリプレット(デジタルツイン+ノウハウ)」というメニューがあります。物理世界をデジタルに写すデジタルツインに、人が持つノウハウの層を加えるという考え方で、荏原製作所の設計・開発プロセス革新に適用されています。
シミュレーション環境を作っても、判断の根拠が人の頭の中にある限り使いこなせない——という課題に、暗黙知の可視化メソッドを組み合わせて応える構造です。
「生産デジタルアセスメント(MaPDM-A)」は、生産プロセスにおけるDXの進行度と問題点を網羅的に評価するメニュー。1か月程度で完了できるサービスとして案内されているため、本格的なプロジェクトの前に現在地を測る使い方ができます。
最も力を発揮するのは、「ベテランの頭の中にしかない判断基準を、形にして残す」局面です。得意領域を5つの観点で整理します。
同社が独自メソッドとして掲げる中核が、ベテラン技術者の技術・ノウハウ・思考を独自プロセスで見える化し、「伝わる形」にして残す手法です。単に記録するのではなく、可視化した技術をもとに企業の強みや独自性を定義しなおし、事業開発による価値創出へ繋げるところまでを射程に入れています。
「マニュアルを作っても伝わらない」「退職までにノウハウを残したいが方法が分からない」という課題は、記録の問題ではなく判断ロジックを抽出できるかどうかの問題です。ここに専用のメソッドを持つ点が同社の中心的な強みになります。
自動車完成車メーカーの事例では、DSM(デザイン・ストラクチャ・マトリクス)による設計プロセスの可視化を行い、流用設計の中で根拠のない箇所を特定して明確化することをポイントに置いています。
長年使い回されてきた設計には、誰も理由を説明できないまま残っている数値や形状が必ず紛れ込みます。これが変更を怖がらせ、改善を止める原因になります。第三者の視点で「なぜこの値なのか」を洗い直せることは、標準化を進めるうえで実務的な価値があります。
SIEMENSやPTCジャパンの出身者が在籍していることが、この領域の裏づけになります。3D CADとBOM・PLMの導入だけでなく「高度活用」、CAEでは1DCAEや解析主導型設計までメニュー名に含まれています。
ツールは入れたが従来通りの使い方しかできていない、という状態は製造業で頻出します。ベンダー側の事情と設計現場の事情を両方知る人材が、間に立てるのは選定・導入後のフェーズで効いてきます。
支援実績として公開されているのは、神戸製鋼系のコンプレッサ事業、東京エレクトロン、日産自動車、住友ゴム工業、パナソニック、キリン、三井DM砂糖、日立造船(Hitz)、オリンパス、AGC、ラックランド、兵神装備など。荏原製作所、I-PEX、三菱重工業の事例も個別に公開されています。
掲げられているのは「業界トップクラスの企業から地方のスタートアップまで、技術に強みがある企業を数多く支援」という姿勢。対象は規模ではなく「技術があるかどうか」で選ばれていると読み取れます。食品・化学まで含む業種の広さも特徴です。
設計者教育、製造業PM教育、改革人材育成が独立したサービスとして並びます。三菱重工業では「若手設計者のための実践的ものづくり基礎教育」が実施されました。
同社は自社について「製造業エンジニアを戦略コンサルタントへと育成してきた」と述べており、技術者を思考する側へ引き上げる方法論を自社で実践している構造です。改革を進めながら、それを担う人材を並行して育てられます。
オーツー・パートナーズの製品開発支援は、元技術者のコンサルタントが現場と一体になり、属人化した技術のデジタル化や開発組織の改善を泥臭く推し進めるサービスです。
同サービスの強みは、経営層の戦略と現場のギャップを埋め、技術伝承やDXといった難易度の高いテーマを「実務レベルで形にする実行力」にあります。「熟練者のノウハウがデータ化されておらず、AIやDXの活用が進まない」「現場を牽引できるリーダー人材が不足している」といった、技術の属人化や現場のデジタル変革に課題を抱える企業にとって、極めて実践的で心強いパートナーとなるでしょう。
製品開発を成功させるためには、現在の自社が抱える課題に合ったコンサルティング会社を見極めることが重要です。当メディアでは、こうした「モノづくりの課題別」に、おすすめの製品開発コンサルティング会社を厳選して紹介しています。プロジェクトを前進させるための最適なパートナー選びに、ぜひご活用ください。
ある自動車完成車メーカーでは、設計が属人化し手順や手法のばらつきがある、技術伝承の手法をまとめる時間の捻出が難しいなどの課題を抱えていました。この課題を解決し、自動車部品設計手法を確立することをゴールとして掲げていました。
設計者ヒアリングと検討ロジックの討議や、DSMによる設計プロセスの可視化と整流化を行いました。それにより、流用設計の中で根拠のない箇所を特定して明確化することをポイントとしました。 これまで担当者ごとの経験に依存していた設計の考え方やノウハウを整理・体系化し、経験の浅いメンバーでも理解しやすい手順としてドライブプレート設計の業務プロセスを構築。
さらに、当事者だけでは気づきにくい誤りや違和感についても第三者の視点から客観的に確認しながら、設計手順の標準化を進めました。 プロジェクトを進める過程で、現場メンバーは設計内容を可視化し、標準化するためのスキルを習得しました。加えて、設計改革に対する意識も高まり、設計思想についての議論や、あるべき手順・考え方を自発的に提案できるようになるなど、組織としての設計力向上につながっています。
ある重工業メーカーでは、新たなロボット開発プロジェクトを進める中で、開発プロセスの整理やプロジェクト推進体制の強化が課題となっていました。複数の開発メンバーや関連部門が関与する中で、プロジェクト管理の負荷が高まり、開発を効率的に進めるための体制整備が必要とされていました。
プロジェクト推進支援を行い、開発プロセスの整理や進捗管理の仕組みづくりを支援しました。関係部門との調整や課題管理を行うことで、開発プロジェクトを円滑に進められる体制を整備。開発チームが本来の技術開発に集中できる環境づくりをサポートしました。
射出成形用金型の設計・製造を営むIBUKIは、6年連続の赤字で経営破綻寸前の状態にありました。技術力はありながら、それが収益に結びつかない——中小の金型メーカーが直面する典型的な構図です。
オーツー・パートナーズは2014年に同社を子会社化し、8年にわたりコンサルタントではなく経営者の立場で関わりました。自社メソッドを注入してデジタル化を推進し、新製品開発と商流変更を実施。結果として1年で黒字転換を果たし、年商を約3倍へ拡大させています。
この取り組みは「樹脂成形ノウハウを生かした中小金型メーカーのビジネスモデル刷新と収益構造の変革」として、ものづくり日本大賞の「ものづくり+(プラス)企業」部門で経済産業大臣賞を受賞しました。
| 荏原製作所 | デジタルトリプレット(デジタルツイン+ノウハウ)による設計・開発プロセスの革新/産業機器 |
|---|---|
| I-PEX | ビジョン・事業戦略策定支援。創業60年のメーカーが挑む経営基盤の再構築/電子部品 |
| 三菱重工業 | 設計者教育。若手設計者のための実践的ものづくり基礎教育/重工業 |
完成車メーカーが約9ヶ月、重工メーカーが約6ヶ月。数年がかりの全社改革ではなく、テーマを絞って半年〜1年で形にする単位が標準だと分かります。「ドライブプレート設計」「ロボット配置ノウハウ」のように、対象を具体的な部品や業務まで絞り込んでいる点も共通しています。
完成車メーカーの事例で挙げられている成果は、標準手順ができたことだけではありません。現場メンバーが可視化・標準化のスキルを習得し、あるべき手順を自発的に提案できるようになったことまでが記されています。「自らやる」「一緒にやる」「やり方を見せる」という方針が、成果の書き方に表れています。
荏原製作所はデジタル基盤、I-PEXは経営ビジョン、三菱重工業は人材教育。同じファームに、技術・経営・人という異なる入口が用意されていることになります。自社の課題がどの言葉に近いかで相談の切り口を選べます。
同社は「お取引いただいたお客様のうち90%以上に継続的に支援している」と公表しています。プロジェクト終了後も9割以上の顧客から相談を受けている、とも案内されています。一度きりで終わらない関係が前提だと理解しておくと、初回のスコープを小さく切る判断もしやすくなります。
FAQでは「予算に限りがあっても、作業分担や実施期間などのスコープを調整してスモールスタートから成果を出す」と明記されています。短期のお試しについても、1か月で完了できるアセスメントサービスがあると案内。いきなり大型契約を求められる構造ではない点は、初めて外部を入れる企業にとって現実的です。
FAQにはプロジェクト途中でのメンバー変更が可能(顧客のフィードバックと両社協議のうえ決定)、依頼内容の変更も可能な限り対応(工数増加時は事前相談)と記されています。人が現場に入る性質のサービスで、この柔軟性が明文化されているのは確認しておく価値があります。
問い合わせから1営業日以内に連絡、平均10日以内に打ち合わせ、ヒアリングから3〜14日で提案・見積、社内手続き0〜1日、契約完了から平均0〜7日でキックオフ。最短で3週間程度、遅くとも1か月台でプロジェクトを開始できる計算になります。期初や年度計画に合わせて動かしたい場合の逆算がしやすい構造です。
強みはプロセス、可視化、基盤活用、そして人材育成です。試作品の製作や量産の立ち上げ、加工先の選定といった実務そのものを引き受けるサービスではありません。「作れる相手がいない」という課題なら、モノづくり実務側の選択肢を並べる必要があります。
| 社名 | 株式会社オーツー・パートナーズ(O₂ Partners Inc.) |
|---|---|
| 設立 | 2004年3月 |
| 代表者 | 代表取締役社長 松本 晋一 |
| 資本金 | 1億円 |
| メンバー構成 | 約9割が製造業出身の元技術者(トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、SUBARU、デンソー、ソニー、パナソニック、キヤノン、三菱電機ほか出身)。コンサル・IT分野はアクセンチュア、デロイトトーマツ、日本IBM、SIEMENS、PTCジャパンほか出身 |
| 主な受賞 | ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞(「ものづくり+(プラス)企業」部門) |
| 所在地 | 東京都千代田区九段南1-6-5 九段会館テラス ClassicOffice 2A |
| 公式HPのURL | https://www.o2-inc.com/ |
製品コンセプト開発、試作~量産移行、ディスコン対応と言った、プロジェクトの停滞を引き起こすボトルネックを打破する3社を厳選しました。
※1 参照元:アーサー・ディー・リトル公式(https://www.adlittle.com/jp-ja/about)
※2 参照元:トヨタ公式「2025年 年間(1月-12月)販売・生産・輸出実績」2026年1月29日発表(https://global.toyota/jp/company/profile/production-sales-figures/202510.html)
※3 参照元:【PDF】テクノプロ・デザイン(https://www.technopro.com/it/rec_c/wp/wp-content/themes/wp-templ/assets/img/technoproit_career.pdf)※2024年6月末時点